道路使用許可・道路占用許可

道路は、本来人や車が通行するための公共物です。しかし道路での作業や催し物の開催など、時と場合によっては本来の目的以外で道路を使用する行為を行う必要が生じます。このため、道路本来の用途(通行)以外の用途で道路を使用又は占用する場合は、道路使用許可又は道路占用許可を取得する必要があります。
ここでは道路を使用する際に必要となる「道路使用許可」と、道路上、地下、上空に一定の工作物等を設置し継続して道路を使用する場合に必要となる「道路占用許可」についてまとめて解説させていただきます。
目 次
そもそも道路とは
道路とひとことで表現しても、その定義は運用する法律によって以下のように異なります。
道路とは、道路法第2条第1項に規定する道路、道路運送法第2条第8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
(道路交通法第2条第1項)
道路とは、一般交通の用に供する道で高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道をいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となってその効用を全うする施設又は工作物及び道路の附属物で当該道路に附属して設けられているものを含むものとする。
(道路法第2条第1項、第3条)
自動車道とは、専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のものをいう。
(道路運送法第2条第8項前段)
何だか迷路みたいな条文ですが、上記の条文を参考にしてざっくりとまとめると、道路とはおおむね以下のようなものとされています。
①道路法第2条第1項に規定する道路
一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道をいいます。
②道路運送法第2条第8項に規定する自動車道
専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で①以外のものをいいます。
③一般交通の用に供するその他の場所
①②以外で不特定の人や車が自由に通行することができる場所をいいます。(不特定人の自由な通行が認められている私道、空地、広場、公開時間中の公園内の道路等)
当然ながら自宅敷地内や廊下はここでいう「道路」には該当しないのはお分かりいただけると思います。自宅敷地内の小道を使用するのにいちいち許可が必要であるならば、たまったものではありません。
要するに、誰でも自由に通行できるスペースが「道路」に該当します。
道路使用許可制度

絶対的禁止行為
道路交通法では、何人もいかなる場合にあっても、道路において以下のような行為を行うことは禁止されています。
- 信号機・道路標識等又はこれらに類似する工作物や物件をみだりに設置する行為
- 信号機・道路標識等の効用を妨げるような工作物・物件を設置する行為
- 交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置く行為
- 酒に酔って交通の妨害となるような程度にふらつくこと、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しゃがみ、又は立ちどまっていること交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること
- 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人・車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること進行中の車両等から物件を投げること
- 進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること
- 道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
相対的禁止行為
上で述べた行為のほか、以下の行為も道路の本来の用途に即さないものとして禁止されていますが、一方でこれらの行為については公益性が認められることから、一定の要件を備えて所轄警察署長の許可を受けることによって、その禁止が解除されます。
- 道路において工事・作業をしようとする者、請負人
- 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
- 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
- 道路において祭礼行事をし、又はロケーションをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者
1号許可 | 道路での工事や作業 | 道路工事、舗装工事、軌道工事、下水工事、足場設置、 マンホール作業 、搬出入作業、採血等作業等 |
2号許可 | 道路への工作物の設置 | 街路灯、屋外消火栓、公衆電話ボックス、石碑、銅像、広告塔、アーチ、アーケード等 |
3号許可 | 場所の移動を伴わない道路での露店や屋台の出店 | 露店、屋台、靴修理、商品陳列等 |
4号許可 | 道路での祭礼行事やロケ | イベント、演説会、マラソン、パレード、消防訓練等 |
道路使用許可の申請手続

道路使用許可を必要とする者は、使用場所を管轄する警察署長の許可を受けなければなりません。
なお、道路使用の許可行為に係る場所が2以上の警察署の管轄にわたる場合は、主たる場所を管轄する警察署長に申請します。主たる場所とは、マラソン・パレード等では出発地をさします。同時に道路占用許可を必要とする場合は、道路管理者を経由して申請書を提出します。
道路使用許可の基準
使用場所を管轄する警察署長は、次のいずれかに該当する場合は許可をしなければなりません。
- 現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
- 許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
- 現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき
道路使用許可申請に必要な書類
- 道路使用許可申請書(2通)
- 道路使用の場所又は区間の付近の見取図
- 道路使用の方法又は形態等を補足するために公安委員会が必要と認めて定めた書類
道路占用許可制度

道路の占用とは、道路上や上空、地下に一定の施設を設置し、継続して道路を使用することをいいます。単に使用するだけでなく、長期にわたり道路に影響をおよぼす行為です。つまり、道路占用許可を必要とする場合は、道路使用許可もあわせて必要となります。
ただし、あくまでも物件を継続的に設置することに伴う手続きですので、道路上に物件を設置しない場合は、道路使用許可のみで、道路占用許可は不要です。
道路を占用しようとする場合には、「道路管理者」の許可を受ける必要があります。また、許可を受けた場合には「占用料」が発生します。
企業占用(業務占用)
上下水道、鉄道、電気、電話、ガスなどの公益企業者が行う道路の占用をいいます。占用期間は、最大10年と定められています。
一般占用
企業占用以外の道路の占用をいいます。道路上の看板や、建物から看板や日よけなどを道路に突き出して設置する場合などが該当します。占用期間は、最大5年と定められています。
道路管理者
道路管理者 | 道路の種類 |
---|---|
国土交通大臣 | 一般国道で政令指定された区間 |
都道府県知事 | 一般国道で政令指定されていない区間及び都道府県道 |
政令指定都市の市長 | 一般国道で政令指定都市の域内にある区間、都道府県道及び市町村道 |
その他の市長 | 市町村道 |
道路占用許可の基準
許可を受ける基準として、次の要件を満たす必要があります。道路使用許可とは異なり、要件を満たしている場合であっても、道路管理上、あるいは道路交通上の理由によって認められない場合もあります。
- 占用する物件が道路の敷地以外に余地がないこと
- 占用する場所及び構造が政令に適合していること
道路占用許可申請に必要な書類
- 道路占用許可申請書
- 申請個所位置図
- 申請個所案内図
- 現況写真
- 平面図・横断図・縦断図・構造図
- 交通規制図(保安施設設置図)
- 工程表
道路占用料は占用の状況によって異なります。
占用物件の維持管理
占用物件に起因して道路の構造や交通に支障が生じることを防止するため、道路占用者には占用物件の維持管理に関して義務が設けられています。
- 許可内容及び許可条件の遵守
- 占用料の支払い
- 占用期間の満了又は廃止に伴う原状回復義務
- 占用に起因して道路管理者又は第三者に損害を与え又は第三者と紛争が生じた場合における占用者の賠償義務、紛争解決義務
承認工事制度

道路管理者以外の方が、車道から家屋や商店への出入口を設置する際に行う歩道切り下げやガードレール等の撤去など、道路に関する工事を行うときは、道路管理者の承認が必要になります。これらの工事を「承認工事」といいます。
承認工事について
まとめ
道路使用許可も道路占用許可も地域差がありますが許可に要する期間は、道路使用許可で3〜7日、道路占用許可で2〜3週間と見積もりましょう。
とにかく許可を取得しなければ始まりませんし、書類に不備があれば補正を命じられ、それだけ工事の開始やイベントの開催が遅れてしまうことになります。煩わしい手続きは専門家に任せて、本業に注力することをオススメいたします。
道路使用許可申請 | 29,700円〜 |
道路占用許可申請 | 33,000円~ |
道路使用許可申請 + 道路占用許可申請 | 55,000円~ |
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