倉庫業登録(許可)申請│倉庫業開業ガイド

倉庫

倉庫業法では、寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業を倉庫業として定義しています。平たくいえば、有償で、預かった物を預かった時の状態のまま保管する営業がこれに該当します。

倉庫業は、倉庫さえあれば誰でも簡単に始められる事業ではなく、施設や設備等について求められている基準を満たした上で申請し、国土交通大臣の行う登録を受ける必要があります。

そこで本稿では、これから倉庫業をはじめようとお考えの皆さまに向けて、倉庫業に関する基礎知識や登録申請の際に必要となる手続きについて詳しく解説していきたいと思います。

営業倉庫とその種類

倉庫業法では、物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作物又は物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作を施した土地若しくは水面であって、物品の保管の用に供するものを「倉庫」として定義しています。

平たくいえば、物品が無くなったり傷ついてしまわないように保管をする構造物がこれに該当します。さらに倉庫業を営む倉庫については、特に「営業倉庫」と呼んで一般的な倉庫とは区別しています。

また、営業倉庫は保管する貨物の種類によって以下の10種類に区分されており、このうち一類倉庫、二類倉庫、三類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫及び危険品倉庫を「普通倉庫」としています。一般的に倉庫業といえば、普通倉庫において物品を保管する営業を指しますが、実務上は保管することのできる物品の範囲が広い「一類倉庫」の登録が多く行われています。

普通倉庫一類倉庫日用品や繊維、紙・パルプ、電気機械など第1~5類物品を保管する倉庫
二類倉庫麦、でんぷん、飼料、塩、肥料、セメントなどの第2~5類物品を保管する倉庫
三類倉庫雨・風・日光の影響を受けない原材料やレンガ、セメント製品、木材、廃タイヤなどの第4・5類物品を保管する倉庫
野積倉庫鉱物、木材、自動車などのうち、雨風にさらされても良いもの(第4類物品)を保管する倉庫
貯蔵槽倉庫袋や容器に入っていない小麦、大麦、トウモロコシなどのバラ状の貨物、糖蜜などの液状貨物(6類物品)を保管する倉庫(サイロ、タンクなど)
危険品倉庫消防法が指定する危険物や高圧ガスなど(7類物品)を保管する倉庫
水面倉庫原木(第5類物品)を水面で保管する倉庫
冷蔵倉庫農畜産物の生鮮品や冷凍食品などの加工品といった10℃以下で保管することが適当な貨物(第8類物品)を保管する倉庫
トランクルーム主に家財や骨董本、書籍、ピアノなどの個人財産を保管する倉庫
特別の倉庫災害の救助その他公共の福祉を維持するため物品の保管を必要と認めて国土交通大臣が定める倉庫

一方で、物品の保管行為を行っている場合であっても、以下に該当する保管行為については倉庫業には該当せず、それぞれの実態に応じ、他の法令の適用を受けることになります。

  • 有価証券、貴金属その他の物品の保護預り(銀行の貸金庫など)
  • 特定の物品を製造若しくは加工した後に他人に譲渡する営業又は特定の物品を他人から預かり、当該特定の物品について洗濯、修理その他の役務(保管を除く)を提供する営業を営む者が、当該営業の後に当該営業に付随して自ら行う当該特定の物品の保管(クリーニング業者が預かる衣類など)
  • 手荷物、衣類その他の人が通常外出時に携帯する範囲内の物品の保管であって、その人の外出中にその携帯を解いて寄託が行われるもの(コインロッカーなど)
  • 他人の使用する自転車、自動車その他これらに準ずる物品の保管(駐輪場、駐車場など)

なお、「物品」の保管行為が倉庫業の構成要件であるため、電子データ等物品にあたらないものを保管するデータセンター等についても倉庫業には該当しません。ただし、電子データを収納したフロッピーディスクやハードディスク等は「物品」といえるため、これらを保管する事業は倉庫業に該当します。

倉庫業登録

お伝えしているとおり、倉庫業を営業しようとするときは、国土交通大臣の行う登録を受ける必要があります。許可制ではなく登録制が採用されていますが、実務上この違いをあまり意識する必要はありません。

登録の申請は、以下の書類を主たる営業所(本店等)の所在地を管轄する地方運輸局長を経由して国土交通大臣に提出することにより行います。

  • 登録申請書
  • 登録拒否事由に該当しない旨の宣誓書
  • 倉庫明細書
  • 冷蔵施設明細書(冷蔵倉庫)
  • 倉庫及びその敷地(水面を含む)についての使用権原を証する書類
  • 倉庫が基準に適合していることを証するものとして国土交通大臣の定める書類
  • 倉庫の平面図、立面図及び断面図
  • 倉庫付近の見取図及び倉庫の配置図
  • 倉庫管理主任者の配置の状況及び倉庫管理主任者が要件を満たす者である旨を記載した書類
  • 登記事項証明書(法人)
  • 戸籍抄本又は本籍記載の住民票の写し(個人)
  • 資産調書(個人)
★登録申請書の記載事項
  • 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
  • 倉庫の所在地
  • 倉庫の種類
  • 倉庫の施設及び設備
  • 保管する物品の種類
  • 営業所の名称、所在地及び連絡先
  • 資本金又は出資の総額
  • 営業開始予定期日

登録の基準

単に倉庫であれば登録の対象となるわけではなく、以下のとおり、申請者、施設設備及び倉庫管理主任者についてそれぞれに定められた基準をすべてクリアする必要があります。

  • 登録拒否事由に該当しないこと
  • 施設設備基準を満たすこと
  • 倉庫管理主任者を選任すること

登録拒否事由

申請者が次のいずれかの事由(登録拒否事由)に該当する場合には、倉庫業者の適格性を欠く者として、倉庫業の登録を受けることができません。

  • 申請者が1年以上の懲役又は禁の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であるとき
  • 申請者が登録の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者であるとき
  • 申請者が法人である場合において、その役員が上記のいずれかに該当する者であるとき

施設設備基準

倉庫の施設又は設備が倉庫の種類に応じて以下の基準に適合しない場合には登録を受けることはできません。

  • 申請者が、営業に使用する倉庫及びその敷地について所有権その他の使用権原を有すること
  • 倉庫の種類ごとに国土交通大臣の定める建築基準法その他の法令の規定に適合していること
  • 倉庫の種類ごとに定められた基準に適合すること

たとえば、準住居地域を除く都市計画法上の住居地域の区域内においては、原則として営業倉庫を建築することができません。したがって、営業倉庫を立地することのできる建物の用途地域は、以下の6つの用途地域内に限られています。

  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

また、倉庫の種類ごとに定められているその他の基準については下表のとおりとなっています。

営業倉庫の施設設備基準
施設設備基準

倉庫管理主任者

倉庫業者は、倉庫における火災の防止その他倉庫の施設の管理に関する業務の総括、適正な運営の確保に関する倉庫管理業務の総括、労働災害の防止に関する業務の総括及び現場従業員の研修に関する業務を行わせるため、以下のいずれかに該当する者のうちから倉庫管理主任者を選任し、倉庫ごとに1人設置する必要があります。

  • 倉庫の管理の業務に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する者
  • 倉庫の管理の業務に関して3年以上の実務経験を有する者
  • 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
  • 国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者

また、上記の要件に該当する者であっても、以下のいずれかの事由に該当する者を倉庫管理主任者として選任することはできません。

  • 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • 登録の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者
★倉庫管理主任者の人数の例外

倉庫管理主任者は、倉庫ごとに1人を選任することが原則ですが、次のいずれかに該当する倉庫では、例外的に同一の者を倉庫管理主任者として兼任することができます。

  • 同一の敷地内に設けられている倉庫その他の機能上一体の倉庫とみなされる複数の倉庫
  • 同一の営業所その他の事業所が直接管理又は監督している同一都道府県の区域内の複数の倉庫であって、それらの有効面積(又は有効面積若しくは有効容積を国土交通大臣の定めるところにより換算した値)の合計(認定トランクルームが複数の倉庫に含まれる場合には、認定トランクルームに係る床面積の合計を除く)が国土交通大臣の定める値以下であるもの

表現が難解なため分かりにくい規定ではありますが、要するに同じ敷地内にある倉庫や、特別な計算によって算出した値が一定以下の倉庫では、同一の倉庫管理主任者による管理が可能であるものとしてこのような取扱いがされています。

倉庫寄託約款

倉庫業者は、以下の事項を記載した倉庫寄託約款を定め、実施予定期日の30日前まで(又は変更しようとするとき)に地方運輸局長(を経由して国土交通大臣)に対して届出を行う必要があります。

  • 業務内容に関する事項
  • 寄託の引受に関する事項
  • 受寄物の入庫、保管及び出庫に関する事項
  • 受寄物の損害保険に関する事項
  • 受寄物に対する責任及び免責に関する事項
  • 受寄物の損害賠償に関する事項
  • 料金の収受に関する事項
  • 倉庫証券に関する(発券倉庫業者)
  • その他倉庫寄託約款の内容として必要な事項

なお、国土交通大臣が定める標準倉庫寄託約款を倉庫寄託約款とするときは、その倉庫寄託約款について届出をしたものとみなされます。

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